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新潟日報12月24日 五頭からのたより「思い浮かぶ多くの笑顔」

今年も残すところ一週間。年の瀬を迎え、なんとなく慌ただしい日々を過ごしています。年末年始の準備で、何かやり残したことはないかと繰り返し確認する毎日です。
 お客様をお迎えする旅館業は、休みの日に忙しくなります。特に年末年始は、温泉でゆっくりしたいという家族連れのお客様で賑わいます。
 子どもの頃は、この時期があまり好きではありませんでした。冬休みを前に、家族で旅行へ行くのだと楽しそうに話す友達を羨ましく思い、忙しく働く家族との距離を感じ、旅館に生まれたことを悲しく思うこともありました。そういうものだと自分に言い聞かせ、お正月が過ぎるのを静かに待っていた記憶があります。
 若女将になり6度目のお正月を迎えようとしています。どんな年も忙しさに変わりはないのだと思います。けれども、年を重ねるごとに、忙しい中、支えてくれる従業員のみなさんの笑顔や、お客様が喜んでくださる姿を素直に受け止められるようになりました。すこしばかりの心の余裕ができたのだと思います。
 日ごろの疲れを温泉で癒し、久しぶりに会うお孫さんと楽しそうに過ごすおばあさま。こたつに足をのばし、一年の出来事を振り返るご夫婦。ここで特別な時間を過ごすお客様の笑顔が、そう思わせてくれるようになったのだと思います。そのお手伝いができる幸せを、この仕事の中で感じられるようになりました。
 表面だけでは分からない、それぞれの内面にある幸せや喜び。心の持ち方で人は随分と変わるものです。隣の人の幸せと、自分の幸せの大きさを測り比べることはできません。人それぞれの暮らしや価値観が違うように、幸せの感じ方や心の喜びは時と場合によって大きく異なります。
今ある生活の中で、どう幸せを見つけ出すことができるか、そんな「幸せ探し」もいいものです。
 この商売、なんと言っても嬉しいのは、お客様の喜ぶ姿に出会えることです。今年一年、振り返ってみれば、たくさんの笑顔が思い浮かびます。私はそういうことで、素直に良い年だったなぁと感じるのです。
 みなさまにとって、今年はどんな年だったでしょうか。来年もみなさまのご多幸を心よりお祈り申し上げます。
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写真説明
オリジナルの門松づくりを後輩に教える環翠楼の先輩従業員。
村杉温泉街の各旅館の玄関先でも、そろそろ門松が飾られることでしょう。

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