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新潟日報 8月12日号『五頭からのたより』夏の瓢湖ハスしっとりと

五頭温泉郷から来るまで走ること10分。阿賀野市の旧水原町に、瓢箪の形に似ていることから名付けられた湖「瓢湖」があります。冬には白い妖精、白鳥が飛来し、その華麗な姿を一目見ようと、雪が振る中でもたくさんの人で賑わうことで有名です。
 夏のこの時期はひっそりとしていて、地元にいても、その名前を耳にすることが少なくなります。ですが、にぎわいのある冬とはひと味違う、静かな夏の瓢湖を歩くのも、なかなか風情があり好きです。
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 正午前、照りつける日差しを避け、日傘を差し瓢湖へ向かうと、一面にハスの花が咲き誇っています。青い空の下、青い五頭山を背景にした瓢湖の姿は本当に美しく心ひかれます。
 湖の周りは小道が整備され、一周することができます。すれ違う人に「こんにちは」と声をかけらば、「こんにちは」と返ってきます。冬なら、にぎわいで打ち消されてします声も気持ちよく返ってきます。「奥へ行くともっと咲いていますよ」と、同じように観光をしている方に教えてもらうこともあります。
 近づいてみると、すっと伸びた花は凛として美しく、葉は私の持つ日傘の代わりになりそうな程、大きく広がっています。葉の上には真珠のような朝露が残り、輝いています。
 太陽の光を受けた丸い露に周りの景色が映り、その中にもうひとつの瓢湖の世界が広がっているかのようです。そんな独特な雰囲気が私の好きな瓢湖です。
 人の見方や思いは様々です。白鳥の優雅な姿を観て感動を覚えたり、大きな自然の中で自分を探してみたり。開拓の湖に温故知新を感じたり、知らない地理を学んだり。
 また、ゆったりとした空気の流れに身をまかせ癒されたり、人との出会いで優しい気持ちになれたりなど。このように、それぞれの風景やスポットの中で「光」を「観」て、何かを感じられるのが観光だと思います。
 瓢湖は四季を通し、とても美しい場所です。しかし、白鳥=瓢湖というイメージが定着してしまった結果、訪れる人への「光」が届きにくくなったのかもしれません。春は桜並木が、初夏はあやめやアジサイの花が見事です。
 冬の白鳥という強い光に比べると何気ない光かもしれません。ですが、その光は、私たちの磨き方次第でもっと光る可能性があるかもしれません。
 五頭山を背景にした四季の瓢湖の美しさ、その光を輝かせ、人それぞれの気持ちを満たせるような場所。そんな瓢湖で在り続けるためには、私たち自身が輝きを忘れないことではないかと思います。
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写真説明
五頭連峰をバックに瓢湖一面を覆い尽くすように葉っぱを広げるハス。
ハスの花を見るなら、早朝をおすすめします。
つぼみが開くときに出る「ぽんっ」という音が聞こえるかもしれません。
旧水原町にある富士製菓舗で販売している「ヒシ」の実入りのお菓子。
ヒシの実は、ハスと同時期に瓢湖で見られる植物です。
 

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