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新潟日報コラム 『甘口辛口』 ①

12月4日から新潟日報で連載させていただきました『甘口辛口』。
新潟県内の多くの方に読んでいただき、温かいお言葉を頂戴しまして
本当に嬉しく思います。
県外のお客様にも読んでいただきたく、この度、この日記に連載させて頂くことに!
どうぞ宜しくお願いします。
―ごちそう―
「いつもご馳走(ちそう)が食べられていいね。贅沢(ぜいたく)しているんでしょう」。
幼いころから周りの人たちによく言われてきた言葉です。
贅沢なんてとんでもない。ご馳走は私の目の前を素通りして、お客様の笑顔の元へと運ばれていきます。
旅館業は華やかに見えるかもしれませんが、ところがどっこい。
朝はその日のスケジュールが書かれた黒板を相手に、立ったままお握りをほおばり、
夜は10時過ぎに自宅へ戻りニュースを見ながら晩酌です。
そんな私の唯一楽しみはお昼のまかない。
一緒に働く皆さんと一つのテーブルを囲んで食事を取ります。
今日は佐渡沖で揚がった新鮮な甘エビの味噌(みそ)汁。
甘エビといっても頭だけ。
お客様の料理で捨てる部分を調理したものですが、
それが実においしい。チュッチュッと口を尖(とが)らせ、
頭の中に詰まった少しの身と味噌を必死で吸う姿は滑稽(こっけい)でもあります。
わが家では、そんなご馳走。
贅沢とはひと味違うご馳走です。
環翠楼の家族と一緒に食を囲めば何でもごちそうになります。
まかないタイムはかなり賑やかです。

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