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新潟日報6月10日号 五頭からのたより『亡き父と男衆が心の支え』

 「もし、男に生まれていたら…」とふと考える時があります。そう考えるのは、決まって自分の力不足を痛感したときです。
 もし私が男に生まれていたら、違った人生を歩んでいたかもしれない、などとあり得ない空想を巡らせたりもします。きっと、そう考えさせるのは、父の存在かもしれません。
 父は私にとって一番身近な男性です。迷ったとき「父だったらどんなことを考えて、どんな行動をとるだろうか」と考えることで、いつでも私の道しるべとなります。
 私の父が亡くなって、この夏で22年になります。いつも青空のようにきらきらと笑っている人でした。でも、私が悪さをすれば真っ暗な土蔵に閉じ込め、反省するまで出してくれないような厳しい面もありました。
 子供に対して真正面から向き合ってくれた父は五頭温泉郷に対しても真正面から向き合っていたようです。「五頭」を県内のみなさんに知っていただくために、いろいろと行動を起こしていたようです。
 温泉地を盛り上げていくためには若い力がひつようだと、小さな温泉地の若い衆を集め、東京まで出かけました。新宿の三越の屋上で、田植えのパフォーマンスをしながら、五頭を宣伝した話しは、村杉のみなさんの語り草です。
 父の情熱が人の心を引き付け、今でもみなさんの記憶の中に残してもらっていることを、娘として本当にうれしく思います。私が毎日希望を持って働いていられるのも、亡父をはじめ、父親世代の人たちのおかげだとい思っています。
 村杉温泉街をいつもきれいに掃いてくれるおじさんたち。地域の歴史を語ってくれるおじさんたち。おなじような商売をしているおじさんたちは、困ったことがあると必ず相談に乗ってくれます。
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 五頭にはさまざまな知識や心の在り方を私に教え、支えてくれる人がいます。もしかしたら、それを結びつけているのは、父なのかもしれないと最近しみじみ思います。
 父の五頭に対する思いを心に、父の世代の頼もしい人たちに交わり、微力ではありますが、これからの五頭を一緒に築き上げていきたいです。
 もうすぐ父の日です。
 五頭のお父さん方、いつもどうもありがとう。遠くにいる父をはじめ、五頭のみなさんに感謝です。
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写真説明
「きれいなところには自然と人が集まる」と温泉街に花を植える地元のおじさん。「自分のしていることは特別なことではないんだ」とはにかみます。
村杉の名所「薬師清水」に集まった地元の男衆。皆さんなしに村杉は語れません。私の心を育ててくれるお父さん的な存在です。

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