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新潟日報 7月8日号 五頭からのたより『豊かな清水 昔と変わらず』

 梅雨に入ったとはいえ、なかなか降らない雨を気に掛ける農家のことが気になる今日この頃です。
「お~い雨さん、降っておくれよ」と天に向かってお願いします。
 しとしと静かに降る雨を帳場から眺めるのもなかなか良いものです。雨粒のひとつひとつの輝きまで
見えるような気になってしまいます。雨粒は木々の緑と重なり、美しい風景をつくり出します。
庭園のアジサイやコケ、木々にとっては潤いの雨、恵みの水です。
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 五頭山の麓には伏流水がわいているところがあります。薬師の清水、優婆尊御霊水、羽黒歓迎塔の清水、木田橋の清水、権現山霊水、岩瀬の清水、秋取の清水。名はなくとも、そのほかにもわいているところがたくさんあります。
 私が通っていた小学校の校庭にもありました。サンショウウオの卵を見つけてはしゃいだ水飲み場。
火照った体を冷やすのに友達と掛け合った冷たい水。思いっきり走った後に飲む水は格別。
今でも鮮明に覚えています。
 子供の頃よりも整備され、多少環境は変わりましたが、のどが渇けば、手ですくい、好きなだけおいしい清水を飲むことができるのは当時と何も変わりません。
年間を通して一定の温度を保つ清水は、暑い夏は冷たく、寒い冬は暖かく感じ、共に生活する上でもありがたい水です。
 この水を求め、近郊から多くの人々が大きなポリタンクを持ってやって来ます。「しっかりとした水の味がするんだよ。お茶を入れればまろやかに、ごはんを炊けばふっくらと。いいね、こんな水がいつも飲めて」とうらやましそうにご婦人が語ってくださいました。
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 今、コンビニエンスストアではさまざまなラベルで飾られたミネラルウォーターが並んでいます。
ガソリンが値上がり、大変だと言われている今日ですが、実はそれ以上に水の方が高価なのではないでしょうか?
人にとって空気の次になくてはならないものなのに、水も選び買う時代になったのかもしれません。
 雨が五頭山に降り注ぎ、森が水を蓄え、長い時を経て私たちの恵みの水として返ってくる。
その自然循環の中に私たちは生きているんだなぁと思います。
あまりにも豊か過ぎて、何が本当の恵みであるのか見えなくなっているのかもしれません。
それを五頭を訪れる人たちが教えてくれます。
当たり前のことを喜べること、それは私たち自身の心の在り方にもつながります。
そういう心を忘れずに、五頭を訪れるお客様に接していきたいと改めて思います。
写真説明
待ちに待った雨降りの日の環翠楼の庭園。みずみずしい緑は、雨降りならではの美しさです。
羽黒歓迎塔の清水に水を汲みに来た人たち。水を沸かしてコーヒーを飲むそうです。
五頭の各所の清水ごとに味が違うので、飲み比べるのも楽しいかもしれません。

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