この度、一棟貸切 臨泉閣-RINSENKAKU-がグッドデザイン賞を受賞しました。
設計や建築に携わっていただいた方々には感謝申し上げます。
過去に有形文化財で受賞した宿泊施設はいくつかありますが、ハードルの高さからか全国的に受賞歴は多くありません。
当館で調べた限り新潟県では初の受賞ではないかなと思います。
グッドデザイン賞と聞くと「おしゃれ、かっこいいデザイン」と思いがちですがそうではありません。
グッドデザイン賞とはデザインによって社会の課題解決や暮らしをよりよくすることが重要視され、
有形無形を問わず様々な物事のプロセス、思想、意義などを総合的に評価されたものが受賞対象となります。
つまりそれが何のためのデザインなのか、という理由が大切になってきます。
今回のプロジェクトは機能性を向上しつつも建具や建材を再活用するなど明治の趣を残すことに重点を置きました。
歴史的な佇まいに合わせ内部も古い価値を残すのが本来の文化財保護だと考えています。
快適設備が優先となり内観が近代的では本当の有形文化財ではありません。
その結果として「失われつつある文化財の有効保護・活用し後世へ繋ぐ」という点が評価されました。
以下審査コメントです。
「文化庁も、文化財の魅力が伝わるよう文化財の公開・活用を積極的に推進するという方針を示している通り、次の時代に文化財を適切に引き継いでいくためにもうまく活用することはとても重要なこととなりつつある。活用において元の状態に戻せることを条件に、改変が許されるケースがあるが、今回のプロジェクトは水回りなどは比較的自由度高く、現代の滞在空間として使いやすいように改変が行われている点を評価した。保存という観点からすれば、何も変えないのが一番だが、それでは活用できないので、この事例のようにおおらかな捉え方で歴史的建物を活用していくことで、結果としてより多くの文化財が後世に残っていくことにつながると考える」
こちらは二次審査用の審査パネルです